メタボリックシンドローム

A男さん>この前、健康診断を受けたら、お腹周りが100cmもあって、、、。周りから、メタボ、メタボって冷やかされたけど、、、、。大体メタボってなんですか。

B先生>そうですか。お腹まわりが100cmあったんですか。顔は太って見えないのに、着やせするタイプに多いんですよ。メタボには基準があって、お腹まわりが男で85cm、女で90cmを超えていて、血圧や血糖、コレステロールなどが基準を超えるとメタボと診断されます。

A男さん>でも、失礼なんですよ、、、。お腹が出てても、誰にも迷惑かけないでしょう?

B先生>そうですね、、、。確かにメタボの基準については専門家でも色々な意見があるんです。ただし、多くの専門家が、メタボを改善しない場合には将来の心臓病や脳卒中の発生が多くなると考えているんです。脳卒中や心臓病は多額の医療費がかかります。その医療費は国民全体で負担するものです。ですから、メタボ→脳卒中・心臓病→医療費増→国民の負担増を、メタボ改善→脳卒中・心臓病減→医療費減に変えていくのが高齢化社会を迎える日本人の責務なんです。

A男さん>突然、そんなこと言われてもねぇ、、、。

B先生>まぁ、そんな壮大なことを言わなくても良かったのかもしれませんが、、、。でも、とにかく将来の健康のためにはメタボの改善が有効であることが分かってきています。お腹周りがスマートになると、見た目も良いことですし、、、。

A男さん>大体、お腹が大きくなるとどうなるんですか?

B先生>お腹周りは、内臓脂肪の量を反映すると考えられています。内臓脂肪は悪玉ホルモンを分泌して、動脈硬化を起こして血管をボロボロにしてしまいます。ボロボロになった血管は破れやすく詰まりやすいので、将来的に心臓病や脳卒中を引き起こしてしまいます。

A男さん>ということは、お腹周りをシャープにすると、心臓病や脳卒中の発生リスクを減らして死亡率や要介護になる危険性を下げられるということですか、、、。

B先生>そうです。幸いなことに内臓脂肪は、比較的減りやすいのです。頑張れば減らせますよ。一説によれば、メタボなどの危険因子を5個持っている人は、危険因子がない人よりも30倍も心臓病を起こすと言われているんです。30倍も故障しやすい飛行機には乗らないでしょう?

A男さん>では、どうすれば良いのですか?

B先生>少なくともメタボに関して言えば、お腹周りを85cm未満(女性は90cm未満)にすれば基準をクリアできますので、運動と食事に気をつければ十分に減らせますよ。

A男さん>はい、では頑張ってみます。

 

 

 

 

メタボリックシンドローム (詳しい説明)


以前は生活習慣病と呼ばれていたものです。

脂肪の中でも、皮下脂肪に比べて、内臓脂肪が健康に悪影響をあたえることから、内臓脂肪の簡単な指標としてウエスト径を使用しています。

 

診断基準 

  ウエスト 男性≧85cm

                     女性≧90cm

 

       に加えて、下の3項目のうちいずれか2項目以上が陽性

    ①空腹時血糖≧110mg/dl

            ②最大血圧≧130mmHg かつ/または最小血圧≧85mmHg

            ③中性脂肪≧150mg/dl かつ/または低HDLコレステロール<40mg/dl

 

 メタボや高血圧、高コレステロールは症状がないのに何故治療をしないといけないかと言えば、これらを放置しておくと無症状のまま動脈がボロボロになってしまうからです。ボロボロになってしまった動脈は、もとに戻らずに、血管が詰まって心筋梗塞や脳梗塞を起こしたり、脳出血の原因になったり、足の壊疽につながります。そうなると、麻痺を残したり、寝たきりになったり、認知症の原因になったり、と健康寿命を短くしてしまいます。

 

 日本人の死因のなかで、動脈硬化が原因でおこる心臓病や脳卒中は3割を占めます。さらに重要なことに、命は落とさないまでも、後遺症を残している方がさらに多く存在することです。ある報告によれば、肥満、高血圧、高血糖、高コレステロールのうち3-4つで異常がある方は、健常な方に比べて心臓病の発症リスクが30倍以上とされています。

 

 車の検査で異常がみつかり、「修理をしないと事故を起こす可能性が30倍です」、と言われた場合、修理しない方は殆どいないのではないでしょうか?

ところが、自分の健康になればどうでしょうか?

 

健康診断で、高血圧、脂質異常、糖尿病を指摘された場合は、軽度であれば3-6か月間生活習慣を改善して頑張ってください(要治療の場合は早めに病院の受診をしてください)。

そのうえで再検査をして、改善がない場合には、潔く医療機関を受診しましょう。少なくとも、2回の健康診断で続けて異常がでた場合は、医療機関を受診しなければならないでしょう。

 

高血圧、脂質異常、糖尿病などは、体質(遺伝)の影響があり、同じ生活をしていても、どんな努力をしていても、異常が出てしまいます。いけないのは、これらの数値が異常になったことでなく、異常を放置しておいて大きな病気を引き起こしてしまうことです。

 

メタボの生活習慣改善

 ①食生活の改善と②運動習慣の改善が大切です。

 大雑把にいえば、1か月に1Kgの減量が奨められます。これより早すぎる減量は体に悪影響を与える可能性がありますし、長続きしません。柔道やボクシングの試合前の減量と違い、メタボについては数年または数十年単位の生活習慣の改善が大切です。ジェットコースターのように、乱高下を繰り返すよりも、できることを持続的に行うことを心がけてください。

 

1Kgの脂肪を燃やすためには、

   1Kgの脂肪x脂肪のカロリー=7200Kcal を消費する必要があります。

   7200Kcalを30日で燃やすので、一日当たり240Kcalになります。

 今が体重横ばいであれば、今の生活から 1日240Kcal減らした生活が必要です

 

①食生活の改善

  ポテトチップス1袋は500Kcal

  コーラ コップ1杯 約100Kcal

      スポーツ飲料 500ml で 約100Kcal です。

 間食をなくすだけでも、カロリーがだいぶ減ります。

 

 脂肪や肉などもカロリーは高いのですが、侮れないのがご飯です。

  ごはん一膳 240Kcalです。

 もちろん、バランスの良い食事が大切なので、ご飯を摂らないのはいけません

 しかし、ごはんのおかわりや大盛りをやめるだけで120Kcalが減量できます

 

②運動

  食事で-120Kcalに加えて、運動で-120Kcalを目指しましょう

    普通に歩く 30分=100Kcal

            ジョギング 30分=150Kcal

            水泳    30分=300Kcal

            自転車   30分=100Kcal です。

 

繰り返すようですが、急激な減量は長続きしません。できることから、ゆっくりと、しかし開始日を決めて、始めてみましょう。周りの人に、生活習慣の改善を宣言しましょう。やめるにやめられなくなります。