せき(長引く咳、咳嗽)

Y美さん:咳が続いて、きついんです

B先生:咳が続いてきついんですね。いつから、咳がでますか?

Y美さん:2ヶ月前くらいにカゼをひいたんですが、初めは咳も出て、痰も出て、熱も出たんですが、痰と熱は1週間くらいで治まったんですが、咳だけは2ヶ月続いています

 

 

B先生:なるほど、熱はなく、痰もない、いわゆる「空咳」ですね。咳が出ると、気分も落ち着かないし、寝る時もシンドイですよね。咳のし過ぎで、肋骨が折れるひともいるんですよ

Y美さん:そうなんです。特に、夜寝る時に咳がでて、、、

B先生:なるほど、夜寝る時ですね。朝方はどうですか?

Y美さん:朝の起きがけもきついし、時々咳で起きてしまうんで、睡眠不足気味です

B先生:これまで、喘息とか、肺の病気にかかったことありますか?

Y美さん:喘息はありません、ただ正直に言えば、咳が続くので近くの先生に1週間前に診てもらったんです。レントゲンで異常はなかったんですが、一応ということでCTまで撮影して、異常はありませんでした。ただ、咳が続くので、気のせい、と言われて咳止めを出してもらったんですけど、咳が止まらなくて、、、、

 

 

B先生:なるほど、検査で異常がなかったけど、咳が続くんですね

Y美さん:はい

B先生:2ヶ月も続く咳ですから、慢性の咳と言うことになります。このような咳で一番多いのは、咳喘息というものなのです。Y美さんの話をお聞きすると、咳喘息の疑いがありますね

Y美さん:えっ!喘息ですか?今まで、アレルギーとかなかったんですけど

B先生:はい、大人になってから咳喘息になる方は多いのです。放っておくと、本格的な喘息になる方もいるので、「咳のコントロール」と「今後の喘息予防」の意味でお薬の治療をした方が良いかもしれません。もちろん、他の病気もありうるので、少し詳しく調べてみましょう。

 

 

 

もう少し詳しく知りたい方へ

「せき(咳)」そのものは、気道(鼻、口、のど、肺)にある異物を排出するための「体の防御機能」です

 

「せき」は、気道にある「せきスイッチ」が刺激されると、おこります。(スイッチは他の場所にもあります)

そのため、気道の病気がある場合や刺激が持続する場合、気道が敏感になっている場合には「せき」が続きます。

 

しかし、軽症の「カゼ」と思われていた方のなかに、「肺炎」や「肺がん」が潜んでいることがあるため、注意が必要です。

 

「咳どめの薬」は、咳を和らげる働きがありますが、原因になる病気に対する治療ではありません。

原因が残っている場合には、

    薬の効果が弱まると「せき」が再燃してしまいます

 

「せき」は持続期間によって、

  ①急性のせき

  ②遷延するせき

  ③慢性のせき  に分けられています。

   

<急性のせき>

    3週間未満のせきです。カゼ、インフルエンザなどの感染症が主です。

  時に、マイコプラズマ、百日咳、結核なども原因となります

     マイコプラズマ:抗生物質が無効な場合もあり、

                                    しつこいカラゼキ、高熱が多い

     百日咳:「急におこる咳こみ」「咳のあとの空気の吸い込み」

                    「咳の後の嘔吐」

<遷延するせき>3週間から8週間未満の「せき」

感染によるものは1割程度です

 

感染による気道炎症のキズ跡が、刺激となる「感染後咳嗽」も1割程度です

「せき」が1-2週間以上続く場合には、医療機関を受診した方が良いでしょう

  

<慢性のせき>8週間以上続く「せき」のことです

通常は、感染症による「せき」が2か月以上続くことはありません

 

慢性の「せき」の主な原因

 ①せき喘息(慢性の「せき」の約半数)

    「ぜんそく」とはわずかな刺激で気道が狭くなる病気です

    せき喘息では、息のきつさや喘鳴がない喘息で、「せき」だけが症状です

    せき喘息を適切に治療しないと、本格的な喘息に移行してしまいます

    

    これまで喘息になったことのない人やアレルギーのない人でも

             「せき喘息」は起こります

    朝方に咳が多いのが特徴ですが、(受動)喫煙、花粉、黄砂、PM2.5など

               でも咳が誘発されます

    治療は「せき」の予防と喘息への移行を予防するために

                吸入薬が使用されます

 ②COPD (慢性のせきの約1割)

     喫煙が原因となり、肺が侵された状態です

     痰をともなう咳が多いです

     禁煙が必要です

 ③アトピーせき(アレルギーによる咳で慢性咳の約2割)

     アレルギーをもつ女性に多い、のどの痒み感やイガイガ感を伴う咳が

                   特徴です

     夜や朝に咳がでることが多いです

     タバコ、エアコン、会話、運動、精神的緊張などで

                   咳が誘発されることがあります

     アレルギーを抑える薬で治療を行います

 ④鼻炎・後鼻漏

     後鼻漏とは慢性副鼻腔炎や鼻炎による鼻水がのどに、

                  たれ落ちてくる状態です

     鼻水によって、咳や痰がでます

     欧米では慢性咳の2-3割が後鼻漏から起こります

     アレルギーを抑える薬で鼻水を減らす治療が行われます

 ⑤逆流性食道炎

     胃酸の逆流によって、食道にある咳受容体が刺激されて咳が出ます

     夜に多く、会話や食事などで誘発されることがあります

     6割の方で胸やけをともなっています

     胃酸を抑える薬や生活習慣の改善による胃酸の逆流防止を行います