日本呼吸器外科学会の専門医は1200人程度であり、外科学会専門医が22000人から言えば約1割です。 書類審査も厳しく、試験問題もかなり難易度が高かったです。 専門医試験の合格率は6割程度(試験ができなくても可能性は十分ある) 私は、H22年度に受験したため、最新情報ではありません
<受験資格> ①外科学会専門医(認定) ②日本呼吸器外科学会および「日本胸部外科学会」に3年以上所属 ③卒後修練機関7年以上で、認定施設で3年以上の研修 ④業績 論文3編(1編は筆頭) 学会発表 5回(筆頭) (学会雑誌の表紙、抄録などコピーの提出:かなり細かくチェックされる) ⑤胸腔鏡セミナーに2回以上(ドライセミナー2回でも可) ⑥呼吸器または胸部外科セミナー参加 ⑦医療安全セミナー2回(施設のものでも可。しかし受講証明書必要) ⑧手術経験 術者50例+助手100例だが、細かい規定あり。手術記録提出が必要 (かなり細かいところまでチェックされる。名前が手書きですが、、?など)
業績、経験数は2割増で申請することがを推奨されていました 当然ですが、間違いがあるかもしれないのでホームページ参照のこと
<受験日程> H24年度の申し込みは7月1日〜8月25日でした 提出書類が複雑で、コピーなどは100枚以上要するので、6月には用意を開始した方が良いでしょう
また、私の場合は、書類の不備で3回くらい送り返されてきました。とにかくチェックが厳しくて、書類審査の基準をクリアーできずに受験資格をもらえない先生もいます
H24年の試験は11月22日でした
<試験直後に書いた感想> 全部で114問で、選択肢5個から2個選択(全部2個選択)。最後に1問の筆記。
試験時間は3時間で長いが、問題を解くのに結構時間がかかるので、余裕はなかった。途中退出可能であるが、1人しか退出しなかった。 試験会長によれば、「この制度が始まって8年。おしなべて7割の合格率」とのこと。受験生の3割は再受験と考えると、過去問はあまり出ないかもしれません。試験委員長の先生が「腕によりをかけて作りました」と言っていたので、毎年各委員が持ち寄って新問をつくっている気がします。少なくとも医師国家試験の過去問などは、全く役に立たなかった。出題された問題を先輩に聞いてみたけど、「全然違うね」と言っていました。(ちなみに翌年の傾向を後輩に聞くと、少し簡単になっていたようです)
試験前は呼吸器外科学(正岡)を読んでいる人が多かったが、それだけでは解けない問題が多かった(選択肢のなかで3つは書かれているが、2つは書かれていないなど)。少なくとも問題を作る側は、呼吸器外科学を参考にして出題していないと思われる。しかし、合格には何点以上必要と言うよりも、下3割に入らないことが大事だと思われるので、平均的な勉強としてやはり呼吸器外科学は必須かなぁ、と思っている。 臨床問題は勉強なしでも診断に困ることはないと思うが、選択肢は勉強していないと答えられないものもある。 聞くところによれば、前年は病理組織をみて治療方針を問われるなど、病理診断が重要だった様だが、今年は3-4問しかでなかった。免疫染色はでなかった。肺機能(フローボリューム)も出なかった。発生も1問だけだった。分子生物分野も殆ど空振りだった。 疾患としては、マニアックな疾患は5問程度と思う。症候群や開胸法、レントゲンのサインなどの名前は、マニアックで呼吸器外科には書かれていなかった。全然分からなかった。 ちなみに、勉強したのは、呼吸器外科正岡(これだけでは十分でないが、逆にテキストの中で出題されない範囲(マニアックな領域)も多かった。これを見ながら試験問題を解いても解けない問題が多い気がする)、コアカリキュラム呼吸器問題集(白い方)(勉強になった。やったおかげで2-3問は取れた)、アプローチ循環器(全く役に立たなかった)、アプローチ呼吸器(全く役に立たなかった)、肺癌取り扱い規約7版(殆ど役に立たなかった。解けなかったけど検診のところは出ていた)、縦隔腫瘍取り扱い規約(少しは使えるが、それだけでは歯がたたない)、呼吸器外科手術書(少し見たが、解剖などで3-4問役に立った)、肺癌診療ガイドライン2005(全く役に立たなかった)。
もし来年も受験するとすれば、やはり呼吸器外科(正岡)は読むと思う。それ以外に、もう一つ別の呼吸器外科のテキストを読むと思う。取り扱い規約は今回でなかったけど、やはり必要と思う。 呼吸器外科学会などでの安全セミナーの内容(あまり聞いていなかった)から出ているかもしれない。試験委員の先生の学会セミナーは聴いておいた方が良いかもしれないと思った。少なくとも資料集め。 先輩が言っていた、「日頃の臨床を掘り下げておけば良かったなぁ」の意味が実感できました。想像より、かなり難しかった。がん治療認定医みたいにテキスト勉強していれば大丈夫とも言い切れない。勉強なしで6割合格の大学もあるようだが、確かに勉強しなくても臨床題を中心に何割かは解けると思う。でも、その先の点数積み上げは難しい気がします。
<試験問題の一部>数十題書き記しているので、随時載せていきます 90)喀痰検査について正しいのはどれか a)結核検査検体は暗所に保存する b)喀痰細胞診は胸水細胞診より処理に時間がかかる c)喘息のときに---体がみられる d)細胞診は乾燥していた方が診断しやすい e)細胞診の検体はホルマリンで固定する
91)正しいのはどれか a.頻呼吸 24回/分以上 b.徐呼吸 8回/分以下 c.多呼吸とは大きく回数の多い呼吸である d.過呼吸とは,,,
92)呼吸音について正しいのはどれか a.肺胞呼吸音は最も小さく低く聞こえる b…
93)PETで正しいのはどれか a.注射前6時間は絶食する b.注射後撮影までは運動を禁じる c.甲状腺機能亢進症を合併していれば検査できない
94)月経随伴性気胸について正しいものをえらべ a.左に多い b.30歳代の女性に多い c.血胸を合併しやすい d.ホルモン療法は効果がある
95)多発肺癌について正しいのはどれか a.一般的に進行している方の肺癌に予後は規定される b.術後2年以上経過し、初発肺癌と同じ領域でないところに肺癌が見つかり、共通のリンパ節に転移がなく他に遠隔転移がないため多発肺癌と判断した c.同時発生の肺癌で、同じ領域に発生したが共通のリンパ節に転移がなく、他に遠隔転移もないため多発肺癌と判断した
96)反回神経麻痺について正しいのはどれか a.患側声帯は内転位となる b.ボタロー靭帯後面のリンパ節を郭清する際に損傷しやすい c.大動脈を脱転する時には気管に沿って上行するので注意が必要である d.迷走神経の損傷では声帯麻痺は生じない e.不全麻痺の場合、6ヶ月以上後に改善することはない
97)パフォーマンスステータスについて正しいものを選べ a. PS0: 生活に支障はないが発病前よりは活動に制限をうける b. PS1: はげしい運動は制限されない c. PS2: 軽作業はできる d. PS3: 身のまわりのことはできない e. PS4: 全く動けない
<筆記試験> 60歳男性。5年前にステージIAの腺癌で右上葉切除手術を施行した。左肺腫瘤を指摘され来院した。胸部レントゲン(左肺中肺野に結節影、他に病変なし)。CT所見で左下葉に2cmくらいのspicular, pleural indentation、vascular convergencyをみとめる)。VC 3000(67%)、FEV1.0 2300 。(ちなみに生検などの病理診断については書かれていない) 下記について150字で書け 1) 診断 2) 治療方針
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