前立腺肥大症、前立腺がん
<前立腺とは?>
前立腺は男性にだけあり、膀胱の出口部分で、尿道を取り囲むように存在します
<前立腺が尿道を圧迫した時の症状>
尿の勢いの低下:「いざ出そうとしても出ない、尿に勢いがない、
チョロチョロとしかでない、尿に時間がかかる」
頻尿:「夜中に頻繁にトイレに起きるが出る量は少ない」
残尿:「おしっこが終わってもすっきりしない。」
切迫感:「突然尿意を感じて我慢できずにトイレに駆け込む」
排尿遅延:「おしっこを出そうと思ってもなかなか出てこない」
<前立腺がん>
もともとは西洋人に多く、日本人には少なかった「前立腺がん」ですが、近年日本で増加してきています。
50歳ころから発症の危険性が高まりますが、9割以上は高齢者です。
家族が前立腺がんにかかったことのある人は、2-3倍前立腺がんに罹る可能性が高いと言われています。
初期には症状がほとんどありませんが、血液検査(PSA)での早期発見が増えています
PSAは前立腺だけがつくるタンパク質です。
血液のPSAが 4~10ng/ml:グレーゾーン>「がん」の可能性が2-3割
10ng/ml以上:「がん」の可能性が3-6割
前立腺肥大や前立腺炎など「がん」以外の原因でもPSAが上がります
がん検診としてPSA検査をすることが、「前立腺がん」の死亡率を下げるかどうかは分かっていません(治療しなくても命に関わらない「がん」まで発見してしまう可能性があります)
<前立腺がんの治療法>
前立腺がんは早期に発見できれば、ほぼ確実に治すことが可能です。
①手術療法(前立腺を切除します。主に早期がんが対象です)
②放射線療法
(体の中に放射線の針を埋め込む小線源療法と体の外から放射線を当てる方法があります)
③内分泌療法
(男性ホルモンで大きくなるため、男性ホルモンを抑制します)
④待機(監視)療法(定期的に検査を行い、悪くなったら治療を考える)
⑤抗がん剤(今のところは他の治療が優先されます)
<治療の考え方>
前立腺がんの7割はゆっくり進行します。
そのため高齢者や体の状態が良くない人では、天寿を全うするまで体に負担をかける治療をしなくても良いこともあります。
若くて元気な方で早期がんであれば手術が行われます。
治療の選択については泌尿器科の専門医に相談しましょう
<前立腺炎>
細菌感染によって生じる炎症
30-50代が多い
尿道の奥に痛みがあり、高熱を伴う
尿の濁りがあり、尿の終わりに痛みや熱感があり、残尿感がある
急性であれば抗生物質でほとんどが治ります
<前立腺肥大症>
前立腺の肥大は40歳くらいから、ほぼ全ての男性に生じます。
症状がない前立腺肥大は治療の必要はありませんが、排尿トラブルの原因となります。
前立腺肥大の原因は、まだよく分かっていませんが、男性ホルモンの不均衡や西洋型の食生活が関連しているといわれています。
前立腺肥大から前立腺がんが発生することはありません(前立腺肥大の方もがんにはなりえます)
<症状>
残尿感があったり
夜間2-3回以上起きる
排尿の悩みがある
尿のことで困っているかどうかが重要です
<治療法>
命に直接関わる病気ではないため、ほとんどの場合、内服薬の治療から開始されます
手術が必要な人の割合は減ってきています
①薬物療法
・αブロッカー:前立腺の緊張を緩和し尿道を広げます
もっとも多く使われています
・抗男性ホルモン:
副作用や前立腺がんの発見が困難になるため
使用頻度は減ってきています
・漢方薬:前立腺のむくみをとり症状を和らげます
副作用が少ない分、薬の効果がでるのに
時間がかかります
②手術療法
薬物療法は症状を和らげる働きがありますが、肥大している前立腺を小さくする働きは弱いため、時間が経つと前立腺の肥大が進んでしまうことがあります
薬だけで症状が抑えられなければ、手術が必要になることがあります
以前はお腹を切開する手術が主流でしたが、現在は体の負担が少ない経尿道的手術が行われることが増えてきています。
<前立腺にやさしい生活>
①おしっこを我慢しない
②下半身を冷やさない
③便秘にならないようにする
④適度な運動をする
⑤脂肪分を摂りすぎない