嘔吐下痢症(ノロウィルス、感染性胃腸炎)

感染性胃腸炎(嘔吐下痢症)

感染性胃腸炎は、細菌やウイルスなどの感染によって起こる胃腸炎のことです。

例年11月ごろから増加し、12月をピークに4月ごろまで発生の多い状況が続きます

冬場に流行する感染性胃腸炎は、嘔吐や下痢等を主な症状とするノロウイルスやロタウイルスなどが主な原因と考えられており、12月のピークは「ノロウイルス」によるものとされています。

 

ノロウィルスについて

・患者の便や嘔吐物には、非常に大量のノロウイルス(1グラムあたり100万個以上)が含まれています

100個以下という非常に少ないウイルス量でも感染する「感染力」がとても強い「ウイルス」で、あらゆる年齢層の方に感染します

・消毒剤への抵抗性が強く、消毒用アルコールは効果が弱いとされています。次亜塩素酸ナトリウム(塩素系の消毒剤や家庭用塩素系漂白剤)であれば、十分な消毒ができるとされています。

・(家庭用塩素系漂白剤が使用できない汚れた衣類等の消毒は、熱湯により消毒(85度以上で1分以上)します。)

 

ノロウィルスによる嘔吐下痢

・ノロウイルスが体の中に入ってから発症するまでの期間(潜伏期間)は、平均で1-2日です。

・主な症状は、下痢、吐気、嘔吐、腹痛、発熱などです

・通常1~3日程度で回復します

・ウイルスは、感染後1週間、長いときは1か月程度は便に排出されます

 

ノロウィルスの感染経路

主な感染経路は経口感染で、

    「人から人へ」感染する場合

    「食べ物から」感染する場合があります

 

・ノロウイルスが含まれる患者の便や吐物から、人の手などを介する二次感染 (トイレ、お風呂、ドアノブ、共用タオルなどを介して)

・人と接触する機会が多いところでの咳により、直接、人から人へ感染 (ノロウイルスを含む便・吐物等が乾燥し空気中に舞い上がる)

・ノロウイルスに汚染されたカキ、ハマグリなどの二枚貝を十分に加熱しないで食べた場合

・ノロウイルスが付着した調理器具、ふきん、タオル、水などを介した感染。

食品を取り扱う方が感染し、その方を介して感染が広がる

   ・ノロウイルスに汚染された井戸水などを、不十分な消毒で摂取

 

嘔吐下痢症の治療法

脱水症状を防ぐための水分補給や安静が大切です。

ノロウイルスによる感染性胃腸炎に特効薬はありません

乳幼児や高齢者、基礎疾患をお持ちの方は、早めに医療機関を受診しましょう。

周囲の方への二次感染を防ぐため、症状がある間の入浴は、シャワーのみにするか、一番最後に利用し、浴槽に入る前によくおしりを洗いましょう。

症状が治まってからも便にウイルスが排出(感染してから1週間~1か月程度)されていますので、引き続き感染を広げない対策が必要です

 

嘔吐下痢症の感染予防

1.最も有効な予防対策は「手洗い」です

  トイレの後、調理前、食事の前には必ず流水と石けんによる手洗いをしましょう

 タオルの共用は二次感染防止の観点からやめましょう

2.食品を十分に加熱しましょう

 食品は、中心温度85度以上で1分間以上加熱して食べましょう

 生で(加熱しないで)食べる食品(野菜・果物等)は、しっかりと洗いましょう

3.調理器具の洗浄、消毒を徹底しましょう

 洗剤等を用いて、調理器具等をよく洗った後、次亜塩素酸ナトリウムで消毒を 

 徹底しましょう

 加熱しないで食べる食品は、まな板・包丁等の調理器具を専用のものとしましょう

4.ふん便やおう吐物を適切に処理しましょう

 便や吐物を処理する際には、使い捨ての手袋・マスク・ガウン等を着用しましょう

 汚染した床は、乾燥させないよう速やかにふきとります

 

嘔吐下痢症の出席停止

ノロウィルスなどの嘔吐下痢症には、法的に決められた出席停止の規定はありません

周りに感染しやすいため、嘔吐や下痢の症状があるときは出勤の制限(停止)が適切です