食中毒(食あたり)

食中毒

①食中毒菌は、私たちの周りの自然界(土壌、動物の体内、海水等)に広く存在しているため、食品の取り扱いがよくないと、容易に細菌が食品についてしまいます。付着した細菌は、生育に適した栄養分、水分、温度のもとで増え続けますが、一定の数以上の菌数になった食品を食べたとき、食中毒が発生するといわれています。

②食中毒のタイプ

・食品についた菌が体の中で増殖し、炎症を起こすタイプ(O157赤痢)

・細菌が体内に入って毒素を作り出すタイプ(サルモネラ、腸炎ビブリオ)

・食品内であらかじめ増殖した毒素が原因となるタイプ

                                              (ブドウ球菌、ボツリヌス)

 

水分、温度、栄養素の3条件がそろうと、

1個の細菌は分裂して2個となり、2個が4個と倍々に増えます。食中毒の原因として一番多い腸炎ビブリオでは、1個が3時間後に420万個、5時間後にはなんと689億1947万個にもなります。最初に1000個の腸炎ビブリオが食品についていれば、1.5時間後には食中毒を起こす十分な菌量となっています

 

細菌性食中毒の予防は、

       ①清潔  ②迅速  ③加熱叉は冷却

の「食中毒予防の三原則」を守れば大部分は防止することができます。


 

①清潔=細菌をつけない

 a)「清潔」とは見た目の清潔ではなく、細菌学的に清潔ということです。清潔な食品を調理または製造するためには、まず清潔な材料を確保しなければなりません。製造元が信用でき、新鮮で温度管理のしっかりしたものを選び、調理前には十分な洗浄をすることが大切です。

 b) 食品は、清潔な場所で、しかも清潔な設備や器具を使って取り扱われなければなりません。施設の清潔保持や、設備などのこまめな洗浄、消毒が必要です。

c) 手指には多数の細菌がついているため、調理の際の手洗いはもちろん、衛生的な服装で取り扱うことは、食品に細菌をつけないためにも大切なことです。また、食品取扱者自身が、健康異常者でないこと、保菌者でないことの確認も大切なことです。

 

②迅速=細菌を増やさない

食品は、細菌をつけないように取り扱っても、無菌状態にすることは困難です。細菌は、栄養、温度、水分の3条件がそろえば、時間の経過とともに爆発的に増えるため、食品は手際良く調理し、常温に長く放置しないで、早く食べることが大切です。

③加熱叉は冷却=細菌をやっつける

細菌は熱に弱く、75℃以上に過熱されると、ほとんどの菌は死滅するので、食品の中心部まで熱が十分通るように加熱することが大切です。

また、細菌は温度が低くなると死滅はしませんが、増殖しにくくなるので、食品を出来るだけ5℃以下に冷却することが大切です。

温かいものは温かいうちに、冷たいものは冷たいうちに食べましょう。

 

 

残った食べ物は?

①残った食品を扱う前にも手を洗う

②清潔な容器に保存する

③保存して時間が経ちすぎたものは思い切って捨てる

④温め直すときは十分に加熱

⑤ちょっとでもあやしいと思ったら食べずに捨てる

 

食べてから症状がでるまでは30分から8日間で、菌によって異なります。

 

食中毒になったときに、家でできること

a) 脱水症の予防には水やお茶、スポーツ飲料などで水分の補給を。
b) 自己判断で吐き気止めや下痢止めの薬を飲まないこと。吐気止め、下痢止め薬を飲むと、細菌や毒素を腸内にとどめてしまい、症状を悪化させるケースがあります。
c) 下痢のときの食事は、水様の便のときはおもに水分を摂り、やわらかい便になったらおかゆにするなど、便と同じようなかたさの食べ物を食べるようにするとよいでしょう

★他の人にうつさないように、自分も周りの人も手洗いを徹底しましょう

 

医療機関を受診した方が良い時は?

①吐き気などで水が飲めない

②下痢が1日10回以上
③体がフラフラする
④意識が遠くなる
⑤尿の量が減る。尿が
12時間以上出ない
⑥下痢便に血液が混ざる
⑦嘔吐が止まらない

 

食中毒

急性の下痢の殆どは感染症(おなかにくるカゼ、食中毒)でおこります。下痢だけでなく腹痛や吐き気、嘔吐、熱などを伴うことがあります。

通常は2-3日から1週間程度で良くなりますが、下痢が続いている間、脱水症や栄養不足などに注意が必要です。特にもともと脱水気味の高齢者や体の水分が多い子供の下痢は用心してください。

 

通勤・通学前やストレス時、疲労時などに下痢になったり、長い間、下痢と便秘を繰り返す方は、感染が原因ではなく過敏性症候群によるものと考えられます。また、下痢が続く場合や血便がでる場合は潰瘍性大腸炎などの自己免疫病の可能性もあります。

 

治療としては

整腸剤などで腸内細菌を整えてあげること、脱水に対して点滴治療をする(水を飲める方は点滴は不要です)、体を休ませること、が大切です。

抗生物質が必要なことは多くありませんが、

 旅行者の下痢症、赤痢菌、カンピロバクター(鶏肉などに多い)

については飲み薬の治療が有効です。

 

下痢止めを使用すると下痢の原因となっている細菌や毒素が体内に留まってしまいます。治る感染症も治らなくなるため使用は控えてください。